エルリク

南シベリアのアルタイ語族の神話に登場する悪魔の王。「カラ・ネメ（Kara-neme＝黒いもの）」とも言われる。創造神ユルゲン（Ulgen, Ulgan）と対立する魔であり、最初の人間達を罪へと導き、ユルゲン（Ulgen, Ulgan）の怒りをかったとされている。ユルゲン（Ulgen, Ulgan）はマイデレ（Maidere）を下界に派遣して人々が自分を恐れ敬うようにしようとしたがマイデレ（Maidere）はエルリク（Erlik）に殺されてしまった。しかしこの時マイデレ（Maidere）の血から吹き出した矢は天界に達し、エルリク（Erlik）の手下達はみんなこれに焼き殺された。こうしてエルリク（Erlik）は冥界へと追放された。 しかしエルリク（Erlik）は一方で最初の人間とも、ユルゲン（Ulgen, Ulgan）の兄ともされる。普通エルリク（Erlik）は恐ろしい形相をした人物として描かれるが、時にはクマや黒ひげを蓄えた老人として描かれることもある。こういったエルリク（Erlik）の神格は仏教の閻魔（Yama）の特徴がみえる。