ディアンケト

太陽神ルー（Lu）の祖父にあたる、島のケルトにおける治癒の神。「ディアン・ケーフト（Dian Céht）」とも。ディアンケト（Dianceht）は非常に優秀な医者で、彼は主神ヌァザ（Nuada）とその妻モリガン（Morrigan）との間に生まれた息子が、アイルランドに災いをもたらすと予感し、その子供の胸を切り裂いた。すると心臓から三匹の蛇が飛び出してきたので、ディアンケト（Dianceht）はその蛇を殺し焼いた灰を河に流した。放っておけばこの蛇はアイルランドを滅ぼしたであろうと言われ、ディアンケト（Dianceht）は救国の英雄ともてはやされた。またあるとき彼は戦で右腕を失ったヌァザ（Nuada）に銀製の義手を取り付ける手術を行っている。ヌァザ（Nuada）はこれ以降、「銀の腕のヌァザ（Nuada）」と呼ばれるようになる。 ディアンケト（Dianceht）はダヌ（Danu）の一族と巨人族との戦いにも参加し、その治癒の力で多くの戦士達の命を救ったばかりか、戦場で倒れた死者をも甦らせ、トゥアハ・デ・ダナーン（Tuatha De Danann）（ダーナ神族）の勝利に大きく貢献した。ディアンケト（Dianceht）はこのように神々の力を維持する為に働いたが、その性格は無慈悲で、嫉妬深かったとも言われている。例えば、彼にはミアフという息子がいたが、彼は父親を勝るほどの治癒術、医術に秀でており、ヌァザ（Nuada）の銀製の腕の代わりに本物と遜色ないような、肉があり血も通った義手を作った。ディアンケト（Dianceht）はミアフに嫉妬しミアフを殺してしまったという。