荼枳尼天

仏教において天(Deva, Dēva)(天部)に含まれる仏尊の一種。ダーキニー(Dakini, Ḍākiṇī)が中国、日本などにおいて音訳されたもの。「吒枳尼天」とも書く。また単に「荼枳尼・吒枳尼・拏吉尼(だきに)」とも称する。本来的には人肉を喰らう悪鬼の類いであったが、毘盧遮那如来(Vairocana)に帰依してからは生きている間は人を食べないで、死んでから食べるようになったとされる。このため荼枳尼天(Ḍākiṇī)は人の死を半年前に知ることが出来る力を授かったという。こうした死肉を喰らう鬼女としての荼枳尼天(Ḍākiṇī)は、胎蔵界曼荼羅の最外院(外金剛部院)の南方に描かれる三組の荼枳尼天(Ḍākiṇī)に見ることが出来る。 これとは別に日本独自の信仰として、荼枳尼天(Ḍākiṇī)を狐を使者とする福徳神として祀る信仰がある。この荼枳尼天(Ḍākiṇī)は白狐にまたがる一面二臂、ないし八臂の天女形で表されるのが一般的である。白狐に乗る姿から「辰狐菩薩(しんこぼさつ)」あるいは「辰狐王菩薩(しんこおうぼさつ)」とも称され、稲荷権現や飯綱権現と混同・同一視されるようになった。 真言は「南麼三曼多勃馱喃訶唎訶(なうまくさまんだぼだなんきりかく)」(諸茶吉尼真言・T0848)。

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