インド神話のシヴァ(Siva, Shiva, Śiva)の別名である「マハーカーラ(Mahākāla)(Mahākāla)="大いなる黒"ないし"大いなる時間"の意」が仏教に単体の神として取り入れられたもの。音訳により「摩訶謌羅(まかから)」、「摩訶迦羅天(まかからてん)」とも呼ばれる。また「大黒天神(だいこくてんじん)」、「黒天(こくてん)」、「大黒神(だいこくしん)」、「大時(だいじ)」、「大黒薬叉王(だいこくやくしゃおう)」などの名でも呼ばれる。同じくシヴァ(Siva, Shiva, Śiva)の別名を元とする大自在天(Maheśvara)と同一視される。元々は寺院の守護と豊穣を司る神であったが、大自在天(Maheśvara)と同一視されるようになると、生産や戦闘をも司る神とされるようになった。密教では大日如来(Mahāvairocana)の化身で伊舎那天(Īśāna)の眷属とされる。中国では食厨の神として祀られる。 密教では象皮を背負い、左面を毘沙門天(Vaiśravaṇa)、右面を弁財天(Sarasvatī)とする三面六臂の「三面大黒天(さんめんだいこくてん)」の姿や三面とも忿怒形の三面六臂像で描かれる。胎蔵界曼荼羅では外金剛部院の北方(左側)伊舎那天(Īśāna)の下に配される。その像容は青色の身色で正面のみ三目の三面六臂の忿怒形で、第一手の両臂に青蛇の臂釧、絡み合う蛇の胸飾りや髑髏の眼にひもを通した胸飾りを身に着け、右手第一手で剣を握り左手第一手でこれを支え、右手第二手で餓鬼(Preta)の頭髪を持って吊り下げ、左手第二手で羊の両角をもって吊り下げ、第三手の両手で象皮を持ち背面を覆う。 今日日本でよくみられる、狩衣を着け袋を背負った二臂の姿は「大黒天神法」に説かれるものだがこれには槌を持物とする記述はない。大国主神の「大国」が「ダイコク」とも呼べるところからこの二者は習合し、七福神の一人として、「大黒様(だいこくさま)」等と呼ばれ現在でも日本で親しまれている。七福神としての大黒天は、狩衣のような服を着て、円形で、低く、わきにふくれ出た頭巾(いわゆる大黒頭巾)をかぶり、左肩に大きな袋を背負い、右手には打出の小槌を持ち、米俵の上にいる姿で描かれる。福徳や財宝を人々に恵む神とされ、甲子の日をその祭日とし、二股大根をそなえる習慣がある。漁業と農業両方の豊作・大漁を祈る意味で、漁業の神である恵比寿とともに祀られることが多い。 種字は「म(ma)」、印相は普印、真言は「唵摩訶迦羅耶莎呵(おんまかからやそわか)」、「唵密止密止舍婆隷多羅羯帝莎呵(おんみしみししゃばれいたらかていそわか)」。 摩訶迦?羅 「大正新脩大藏經図像部 第1巻」 「大悲胎藏大曼荼羅 仁和寺版」より 大蔵出版 ©大蔵出版及びSAT大蔵経データベース研究会(Licensed under CC BY-SA 4.0) 胎蔵界曼荼羅外金剛部院における図像。
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