仏教における明王(Vidyārāja)の一。「たいげんすいみょうおう」とも読む。また真言宗では「師」の音を無視して「たいげんみょうおう」ないし「だいげんみょうおう」と読む。インドの「アータヴァカ(Āṭavaka)」と呼ばれる悪鬼が仏教に取り込まれたもの。「阿吒縛迦(あたばか)」、「阿吒簿倶(あたばく)」、「阿吒婆拘(あたばく)」などの字で音写される他、尊格から「曠野鬼(こうやき)」、「広野鬼(こうやき)」、「曠野鬼人大将(こうやきじんたいしょう)」、「大元明王(たいげんみょうおう)」などとも呼ばれる。曠野鬼と呼ばれる理由は荒野に住んでいた所を釈迦に教化されたという話に因んだもの。国土や国民を外敵や災害から護る仏尊とされる。このため昔は宮中において1月の8日から14日まで、「大元帥の法」と呼ばれる大元帥明王(Āṭavaka)を本尊とした修法が営まれた。その像は一面四臂、四面八臂、六面八臂、十八面三十六臂など様々な姿で表されるが一般的に明王の中でも最も厳しい忿怒形で手足に幾匹もの蛇を巻きつけ、刀や戟などを持ち炎に包まれた姿であらわされる。
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