ブラフマー

インドにおいて宇宙を創造し、指導するとされる神。神々と人間の父であり、古代インド思想で宇宙の根源とされるブラフマンを神格化したもの。シヴァ(Siva, Shiva, Śiva)、ヴィシュヌ(Visnu)とともに三体一座を成す。ブラフマー(Brahma, Brahmā)が世界を創造し、ブラフマー(Brahma, Brahmā)が維持し、シヴァ(Siva, Shiva, Śiva)が破壊する、という循環でこの世は成り立っているという。ブラフマー(Brahma, Brahmā)の瞑想によって宇宙の全ての物質的要素と人間がそれを理解する概念が生み出された。これはブラフマー(Brahma, Brahmā)にとっての一日のうち昼になされ、夜にはそれが再び吸収される。この一日は「マハーユガ」とよばれる大周期であり、「ユガ」と呼ばれる4つの期間、クリタ・ユガ、トレーター・ユガ、ドヴァーパラ・ユガ、カリ・ユガに分けられ、現世は争いと絶望の続く末世カリ・ユガであるとされる。 また別の創造神話によればブラフマー(Brahma, Brahmā)は宇宙卵から生まれた、あるいは宇宙卵から生まれたプルシャとして生まれたともされる。多分に観念的な神ではあるが神話の中では人間らしい役でも登場する。ある神話では自分で作り出したサタルーパーという女神があまりにも美しかったので目が離せなくなり、サタルーパーから目を離さないように幾つも頭を生やして何とか視線から逃れようとするサタルーパーを見つづけた。二人は結婚し、100年もの間秘密の場所に引きこもり、その末誕生したのが最初の人間マヌだという。またブラフマー(Brahma, Brahmā)やシヴァ(Siva, Shiva, Śiva)の不祥事の後始末をしたり、生物の姿になって地上の様子を見に行こうとしたら何回もひどい目に会うといったような、そんな役回りでも神話や民話に登場している。現在ブラフマー(Brahma, Brahmā)を最高神として信仰する宗派は存在しない。これはブラフマー(Brahma, Brahmā)が閑職神であり、もう仕事が終わった人間とは関わりのない神だからである。仏教においては漢訳され「梵天(Brahmā)」と称される。

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