ベルゼブブ

ユダヤにおける魔神、大悪魔。七つの大罪のうち「大食(Gluttony)」を司るとされる。「ベルゼブド(Belzebud)」、「ベルザボウル(Belzaboul)」、「ベルゼボウル(Beelzeboul)」、「バアルセブル(Baalsebul)」など様々な発音とスペルの異なった呼び方がある。魔王サタン(Satan)/ルシファー(Lucifer)(ルキフェル)と同一視されたり、或いはその片腕とされることが多い。「悪魔の貴公子」と称される。地獄王国の最高君主とも呼ばれ、地獄の支配権をキリストから与えられたとも言われる(新約聖書にはキリストがベルゼブブ(Beelzebub, Beelzebul, Baal-zebub)を使って悪魔払いをしていると中傷されるくだりがある)。疫病を撒き散らす元凶とされる。 旧約聖書ではエクロンの神、新約聖書では悪霊の王とされる。本来はペリシテの神「バァル・ゼブル(おそらくバール(Ba'al)のこと)」のことであり、この名は「館の王」、「神殿の王」といった意味である。しかしペリシテと敵対していたユダヤではこの神を「ベルゼブブ(Beelzebub, Beelzebul, Baal-zebub)」と読み替えた。何故なら「ベルゼブブ(Beelzebub, Beelzebul, Baal-zebub)」と読み替えるとヘブライ語で「蝿の王」といった意味に変わるからである。コラン・ド・プランシー著「地獄の辞典」に挿絵を描いたM=L=ブルトンは、ベルゼブブ(Beelzebub, Beelzebul, Baal-zebub)をその名の通りに、羽に交差させた骨と髑髏の紋章を持った巨大な蝿として描いた。この姿は勿論ブルトン独自の解釈で描かれたものである。「地獄の辞典」は説明も挿絵も悪魔研究家から「伝統的な悪魔学を混乱させた」として酷評を受けることが多いが、ベルゼブブ(Beelzebub, Beelzebul, Baal-zebub)のこの悪魔として分かりやすい姿は、大衆に受け入れられ今やすっかり定着してしまった。 ベルゼブト(Belzebuth) 1863 コラン・ド・プランシー(Collin de Plancy)著 「地獄の辞典(Dictionnaire infernal)」より コーネル大学図書館(Cornell University Library)蔵 Copyright : public domain

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