仏教における変化観音の一つで、インド神話に登場するハヤグリーヴァ(Hayagriva)が仏教に取り込まれたもの。観音であるが明王形で忿怒の相を表すため「馬頭明王(ばとうみょうおう)」とも呼ばれ、八大明王の一尊としても知られる。馬が草を食べ尽くすように衆生の煩悩や魔を食べ尽くし打ち伏せるとされる。また馬の脚の如く霊験が速く顕れるともされる。もともとは名前の通り馬頭人身の姿であらわされたが、日本では頭上に馬頭を載せ額に縦に目がついた三目の忿怒形で、一面二臂、一面四臂、三面二臂、三面八臂、四面八臂などで表される。また胸の前で馬頭印と呼ばれる特殊な印を結ぶものが一般的である。本来の霊験の他にも馬を司る仏として、馬での旅路の道中安全を願ったり、農耕馬の供養を祈る仏とされることもあった。胎蔵界曼荼羅では観自在院(蓮華部院)に配される。チベット仏教ではタムティン(rTa mgrin, Tamdrin)と呼ばれる。
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