ヨーロッパから中東における伝説や伝承に登場する想像上の生物。当初バシリスク(Basilisk)は頭部にとさかないし冠状の突起がある、ヤマカガシに似た蛇とされた。名前はこの突起に因んだものであり、ギリシア語の「バシリスコス(basiliskos=小さな王の意)」からきていると考えられる。爬虫類の王であり頭を持ち上げたまま移動する(おそらくコブラに由来する描写)とされる。「旧約聖書」の「エレミヤ書」(8:17)や「詩篇」(91:13)(日本語訳では"蛇"などと書かれている場合もある)にはバシリスク(Basilisk)が悪の象徴として登場している。また大プリニウス(A.D.23~79)の「博物誌」には初期のバシリスク(Basilisk)の特徴が事細かに説明されている。これによれば、バシリスク(Basilisk)は大きな特徴として比類なき毒を有しており、例えばバシリスク(Basilisk)を槍で突き殺そうとしても槍を通じて人間、及び乗っている馬にさえ毒がまわり死んでしまうとされる。ただイタチが放つ悪臭にはめっぽう弱く、バシリスク(Basilisk)の巣にイタチを投げ込むと相打ちでどちらも死んでしまう、と記されている。 時代が下るにつれバシリスク(Basilisk)に対する記述は多岐に渡るようになり、大げさになっていった。当初小さな蛇のはずだった体はもっと大きく描写され、火を吹く、死をもたらすうなり声を上げる、人を狂わす、等の説明が加わった。またコカトリス(Cockatrice)と同一視されるようになると「バシリ・コック(Basili-Coc)」ないし「バシルコック(Basilcoc,Basilcok)」などとも呼ばれるようになり、姿もコカトリスのような混成動物へと変化した。 バシリスク(Basilisk)はメドゥーサのように目で見ただけで生物を殺す能力があるとされることもあり、砂漠はこの能力によって生じたものとされることもある。これを逆手に取り、水晶玉でバシリスク(Basilisk)の視線を反射させれば、逆にバシリスク(Basilisk)を殺せるという。バシリスク(Basilisk)はその強烈なイメージから貴族や団体の紋章として使用されることもあった。またバシリスク(Basilisk)の人を即死させる能力にあやかって、大砲に「バシリスク(Basilisk)砲」と名づけられたりしたこともあった。
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