カルタゴ(アフリカ北部)における最高神で天空の主。海洋貿易国家であったカルタゴにとって天候は最も重要な問題であり、したがって太陽を司るバール・エシュモン(Ba'al Eshmun)は最高神とされた。ポエニ人の神は、フェニキア人にとって一人の神格を表す言葉だったバール(Ba'al)が、多数の神格に分かれて生成されたものである。つまりポエニ人のいう「バール(Ba'al)」は、「神」とか「主」という一般名詞を指し、カルタゴが繁栄していた時代、神々は「バール・~」というように呼ばれた。その中で最高神であったのがバール・エシュモン(Ba'al Eshmun)で、後期になって重要視されるようになったタニト(Tanit)女神も、「バール(Ba'al)に面するタニト(Tanit)」と呼ばれた。また人身御供を要求するカルタゴの神々の中では珍しく、あまり人身御供を捧げられることはなかったとされている。
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