カナアンやフェニキアに伝えられる古代セム族の豊饒と生殖の女神。バビロニアの神であるイシュタル(Ishtar)やイナンナ(Inanna)に由来する神と考えられている。或いはフェニキアにおける万能の母神「アストローチェ(Astroache)」を起源とするという説もある。神名は「子宮」あるいは「子宮から生まれる者」といった意味だと考えられている。バール(Ba'al)の配偶神で頭に三日月型の角をつけた姿や、牡牛の頭をした女性の姿で表される。 アスタルテはエジプトの神話体系にも取り込まれ、ファラオとファラオの乗る戦車を守護する神とされる。セト(Set, Seth)の妻でありセクメト(Sekmet, Sekhmet)と同一視される。エジプト神話の中でアスタルテは潮の流れに巻き込まれて溺れそうになっているところをエジプトの神々に助けられ、プター(Ptah)の養女として迎えられたとされている。また一方でハトホル(Hathor)とも同一視されるためレー(Re)の娘ともされる。
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