アスラ

古代インド神話に登場する超自然的な種族の総称。名前は「神でないもの」あるいは「整っていない（醜い）もの」といった意味を持っている。神々たるデーヴァ族に対抗する種族とされるが必ずしも悪魔のような存在とはされない。ヒンドゥー教の聖典「ヴィシュヌ・プラーナ」ではブラフマー（Brahma, Brahmā）の太ももから生まれたとされる。また祭儀書「シャタパタ・ブラーフマナ」ではデーヴァとともに創造主プラジャーパティ（Prajapti）から生まれたが、デーヴァが真実を追求する道をとったのに対し、アスラ（Asura）は虚偽の道を選んだとされる。両種族は互いにいがみ合っているが、場合によってはいやいやながら手を組むこともある。例えば霊薬アムリタを手に入れるときなど、両種族は協力して天海を攪拌した。代表的なアスラ（Asura）として、アガースラ（Aghasura）、ジャランダラ、ハヤグリーヴァ（Hayagriva）などがいる。アスラ（Asura）は仏教に取り込まれ、日本や中国などでは「阿修羅（Asura）」と称される。