アピス

エジプト神話に見える雄牛の神性。メンフィスを中心として信仰されていた。「ハピ(Hapi)」、「エパポス(Epaphos)」ともいう。エジプトの他の雄牛の神性と同様に、もともと 多産豊穣の神で、鳥獣の繁殖に関係していたが、のちプター(Ptah)やオシリス(Osiris)と結びつくようになった。アピス(Apis)信仰では実際の牛を信仰の対象としていて、しかるべき理由(兄弟が居ない、稲妻や天上からの光に打たれた母牛から生まれた、体に聖なる模様がある、など)によりアピス(Apis)となる牡牛を選び、その生涯が終わるまで神として祭り上げる。そのアピス(Apis)が死亡すると王公貴族のように飾り立てたミイラにして石棺に納め、サッカラにある地下墓地に葬られたあとに、また次代のアピス(Apis)を神々の陪審員(おそらく神官が受け持ったと思われる)が選定した。

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