アンラ・マンユ

ゾロアスター教における悪神で、最高の神アフラ・マズダ(Ahura Mazdāh)に敵対する最高の悪魔。絶対的な悪が人格化されたもの。「アーリマン/アフリマン(Ahriman)」、「アハルマン(Aharman)」、「ダハク(Dahak)」、「アング・マイニュウス(Angro Mainyus)」などの別称がある。ゾロアスター教化以前は完全な悪ではなく、祭司がアンラ・マンユに生贄を捧げたりといった儀式もあったが、ゾロアスター教では善悪を分けた二元性のうち悪を司る者として位置付けられた。この世が始まる前の戦いで善神に敗れ、北方にある無限の深淵の暗闇に落とされたが、徐々に勢力を回復し、様々な悪をこの世にもたらすとされる。決まった姿があるわけではなく、出現する時はヘビ、カエル、トカゲなどの魔性の生き物の姿をとるが、人間に化けて王に取り入りその国を没落させたりといったこともする。悪竜アジ・ダハーカ(Aži Dahāka, Azi Dahaka, Azidahaka, Azhi Dahaka, Aži Dahak)、大魔アエシュマ(Aesuma)、地獄の悪魔ダエーワ(Daēva)など、全ての悪を配下に治めているとされる。 後代になって絶対善アフラ・マズダと絶対悪アンラ・マンユが同時に存在するという矛盾から、二者をさらに超越する永遠の存在としてズルヴァン・アカラナ(Zurvan Akarana)を想定する「ズルヴァン派」と呼ばれる一派が興った。

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