古代ペルシア神話における聖なる水の女神。ゾロアスター教ではヤザタ(Yazata)の一員とされる。名前は「純潔な者」、「汚れ無き者」の意。「アナーヒド(Anahid)」、「ナヒード(Nahid)」とも呼ばれる。また「アルドヴィー・スーラ・アナーヒター(Aredovi Sū-ra Aāhitā=湿潤にして強力且つ汚れ無き者)」という敬称を持っている。同名の河を神格化したもので、インドのサラスバティー(Sarasvatī, Saraswati)との共通点が多く見られる。世界に広がる河はつまりアナーヒターであり、人々に豊穣や財産、子宝など全ての恵みを与える神として信仰された。また星の間に住み、勇気ある高貴さを備えて、四頭立ての戦車に乗って進み、悪魔や暴君を打ち負かす戦神として金星に象徴される。敵であるはずのダエーワ(Daēva)達でさえ彼女に祈りを捧げたという。自然と生物の多産を約束し、鳥獣や牧場を保護し、王権を守護する。その姿は、千の星で飾られた金の冠と四角い金の首飾りをつけた痩身の気高く美しい処女、あるいは千の入り江と千の水路を有した巨大な川そのものであらわされる。
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