アグニ

インド神話における火の神。アーリア人の拝火信仰を起源とする古い神だと考えられている。黄金の顎と歯、炎の頭髪、3~7枚の舌を持つ姿で描かれ、火中に投じられた供物を好むという。天空地三界に顕現し、天上においては太陽と同一視され暗黒を駆逐し、空中においては電光としてひらめき、地界においては祭火として燃えるとされた。火中に投じられた供物を天上へと運ぶため、神と人との仲介者、または使者、賓客として、あるいはアグニ(Aguni)自身が優れた祭官として崇拝された。「リグ・ヴェーダ」において彼に捧げられた賛歌は全体の5分の1をしめる。後世、インドラ(Indra)、ヴァルナ(Varna)、ヤマ(Yama)などとともにローカパーラ(世界守護神)の一つとして崇拝され、南東に住むと見なされた。ゾロアスター教のアタール(Atar)に相当する。また仏教に取り入れられ、「阿耆尼(あぎに)」ないし「火天(Agni)(かてん)」と漢字に訳される。

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