地域・カテゴリ
説明
テオティワカンの古典期の大女神。本来の名前は不明であり、便宜上「(テオティワカンの)蜘蛛女」と呼ばれている。現在の世界の創造神であり、最高神であったと考えられている。テオティワカンの太陽のピラミッド、その広場の東方500mに位置するテパンティトラの宮殿壁画に描かれている。この壁画は今までトラロックと、トラロックの世界である「トラロカン」を表したものだと考えられてきたが、最近の研究によりこの図象はほぼ間違いなく女性像であるとわかった。トラロカンだと思われていたものはテオティワカンの起源を表すものだと考えられている。蜘蛛の牙とヒゲを持つ、体は黄色く描かれることが多く、周りに蜘蛛の図象が描かれることもある。またフクロウの円形の刻印が中心についた、ジャガーの冠をかぶっていることが多い。
この蜘蛛女の周りには彼女自身の大きさに比べて小さすぎる人物像が何体も描かれている。どうやら彼らは楽しげに遊び戯れ、踊り、歌っているようである。彼らの口からはスピーチ・スクロール(言葉を表す渦巻き文)がでている。蜘蛛女はテオティワカンの神々を支配し、自らの世界を統治していた。この女神はアステカの女神である始祖母トシの原型になった神だと考えられ、両神とも配偶神は「老いた火の神」だったのかもしれない。